「正しい努力」

ソリアズ第184号タイトル。格差社会や景気の悪さを愚痴りながら「正しい努力が報われない」と嘆く印刷会社の社長の発言を皮肉った一話。時間だけかけてがむしゃらにやることは努力でもなんでもない。お客様を喜ばせるために何をすべきかを追求すること、相手を喜ばせるための努力こそが正しい努力である。

 

多能化

一人で複数の業務ができること。小さな組織の社員は多能化すべきである。社員の多能化を進めようとすると、業務の標準化が必要となる。多能化することで、繁忙業務に応援に入ることが可能となり、仕事量の平準化が進む。また、多能化していない職場で起こりがちな担当者の休みで業務が止まるといったリスクもなくなる。

 

中小零細企業

特に規模の小さい中小企業(社員は多くても100人くらまで)と社員数名の零細企業のこと。市川のモデルとしている企業は社員数20名弱の製造業か卸売業。

 

中小零細企業型ダイバーシティ

労働人口減により労働力の多様化が迫られている今、中小零細企業においては、女性・外国人・障害者の雇用・活用を考えるだけでは片手落ちである。猫カフェでは猫が接待し、ミクちゃんライブに人が押しかけ、ロボットレストランのロボットはトラックに乗って客寄せをする時代。ここにさらに、シリちゃんやナビ代さん、ペッパー君やドローンさんが加わるのがこれからの「多様性」である。

 

中小零細企業の強み:「差別化(≒お客様満足)」×「機動性」

中小零細企業の経営のこと。中小零細企業の経営の切り札は「機動性」と「差別化」に尽きると言われる。時々刻々と変化するお客様のニーズ。その充足の仕方も時々刻々。機動性を持って立ち止まらず、次々手を打ち続けねばならない。その手が悉く成果を生まなければ、組織が持たない。仕事は段取り八部であり、溜めねば質は上げられない。一方、差別化の実現には、お客様ニーズを捉えた策の積み重ねが必要で、時には機動性を犠牲にしても、奇抜な策を練る場面が必要になる。

 

TG

Trafic Generatorのこと。駅の改札口、バス停、大型駐車場等そのエリアに人が湧き出てくるポイント。TGと目的地の人々の流れ上に、店があれば、その流れの人は捕捉しやすい。TGと拡散した先の目的地の流れを意識することで、店が選ばれる理由、今後の増やしていくべきお客様層の想像がつく。

 

鉄人28号型

指示をしなくても動く自律型社員の反対の意味で指示しなければ動けない社員のことを揶揄した表現。鉄人28号は、主人公である金田正太郎が口頭で細かい指示しながらリモコンを操縦することで動く。戦闘中、絶対に鉄人28号からは目を離せない。「鉄人28号型社員にいきなり自律型社員になれとは言わない。せめてルンバ(ちょっと面倒を見れば後は勝手にやってくれる)くらいになってほしい」と市川はよく言う。

 

等価交換

内田樹の著書『下流志向』では、最近の学ばない子供や働かない若者の現状を紹介し、その原因は環境や動機付けの問題よりも「下流志向」にあると指摘する。子供たちは幼いころから小遣いを手にする事ができ、消費主体として貨幣経済に触れているため、物事を「商品」ととらえ、自分にその用途や有用性があるかという経済観念で測ってしまう。そのため、学校で学ぶことを、教育サービスを「購入する」にあたり、授業を黙って聞くという苦痛や不快と等価交換することと認識している。

 

動機づけの本質

会社の思惑を実現するために、人が会社で満たしたい欲求を満たして行くこと。

 

倒産危機1・3説

市川がビジネス誌編集者の修行時代に見た「個人が独立してから倒産廃業する確率の推移を年数単位でグラフにしたもの」によると、倒産危機は一と三の繰り返しで覚え易いタイミングで訪れるという。無謀な計画の破綻が相次ぐ一年目。頼りの人脈も失われ、独立時のノウハウも陳腐化する三年目。組織を大きくしてゆく過程で、自律的に動く幹部が育たず行き詰まる十年目。そして、社会人として、組織人として衰えを悟り、後継者がいないままに終わり易い三十年目。

 

ナンチャラR(/something-R)

IR(Investor Relations)、PR(Public Relations)、CR(Custmer Relations)、ER(Employee Relations)、LR(Labor Relations)等、市川が企画請け負いを行う対象の総称。市川の仕事は企業とつながる各方面の人々とのコミュニケーションすなわちナンチャラRの企画を請け負うこと。ナンチャラRはカッコ悪いとの指摘を受け、Something-Rと言っていた時期もある。

 

「人間に誤解はない」

人材紹介業を永年に渡り営む市川氏(市川の元クライアント)の持論は「人に誤解は無い」である。求職中の人材が、どれだけ自分の職歴を、そしてそこで身につけたという技術や知識を誇示しようとも、その人材の価値は見る側の者によって決定される。採用面接の場でも、普段の人間関係の中でも、いくら言葉を重ねようとも一旦できた印象はそれを持った本人以外は覆すことができない。どのような認識も誤解ではない。Beauty is in the eye of beholder.

 

「人間は変わらないが、適応はできる」

市川の口癖の一つ。人の本質を変えることはできないが、人は適応できる生き物なので、仕事をしていく上でその場に応じた役割を演じることはできるはずであるということ。

 

「人間は経験の檻から出られない」

市川の口癖の一つ。人は結局のところ、自分の経験した範囲内でしか物事を考えられない生き物である。それゆえ、より有意義な人生を送るためにも経験の檻を広げる努力をすべきである。実際に経験すること以外に読書によって檻を広げることもある程度はできる。

 

人時生産性

「にんじせいさんせい」と読む。一人1時間あたりの付加価値(≒粗利)。この数字が大きいほど、少ない人数で大きな利益を稼ぐことができていることを意味し、経営的には効率が良いということになる。人時生産性を上げるためには、ムダ取りや手順の効率化が考えられるが手順に従うだけでは遣り甲斐が減りやすい。根本的なところでは従業員がコスト意識を共有し、従業員自らが人時生産性を意識することが重要になる。

 

(ネタが)刺さる

ウェブページやチラシなどの文字表現について、市川がよく使う言葉。ターゲットに効く、行動を起こさせること。刺さるかどうかの判断基準は、そのネタ(台詞)にベネフィットを盛り込めているかどうかである。類義語:ビビっとくる。

 

ハーズバーグの二要因説

モチベーション理論の一つ。アメリカの臨床心理学者フレデリック・ハーズバーグは欲求を動機付けの手段と捉え、欲求の対象を動機付けの「要因」と捉えた。そして、それには「動機付け要因」と「衛生要因」の二つの種類があると唱えた。承認、仕事そのもの、責任、成長等の「動機付け要因」は、この要因があると人はドンドン動機付けされるものであり、言い替えると、なければないで取りたてて不満ではないが、あれば、非常に大きな喜びにつながる要因のこと。一方で、労働条件、給与、同僚との関係等の「衛生要因」は、動機付けが一定以上損なわれるのを防ぐ効果があるだけで、積極的に上げる効果は望めない。

 

パフォーマンス型接客

非日常型の接客。日常感を破ることでお客様によい驚きを与える接客。大道芸人がいるショッピング・モール等。

 

ハンカチ効果

社内勉強会の効果の現れ方を表現したもの。MSIグループの社内勉強会を始めたところ、勉強会の参加者以外の社員にも効果が現れるケースが幾つか確認されている。ハンカチを広げ、その一点を摘んで持ち上げる。すると摘んでいる所以外の周辺の部分も緩やかに引き上げられる、このイメージで、市川は勉強会効果の参加者以外への波及を『ハンカチ効果』と名付けた。しかし、実際にはつまんだ場所とは別の場所が大きく持ち上がるという現象までも確認されているため、名称の再考も必要かもしれない。

 

標準化

誰でも同じようにできるようにすること。結果が同じでも、社員間でオペレーションの方法論が異なることはよくあるが、組織の成長と共にオペレーションの標準化を促す必要が出てくる。社員の多能化や新卒採用を繰り返すことで標準化は自然と進むものである。

 

ピンク本

神田昌典の著書『あなたの会社が90日で儲かる!』の通称。同氏を一躍有名にした一冊でもある。営業経験の無い市川が日本商工振興会勤務時代に、新規事業として後継者育成の高額セミナーを立ち上げた際、バイブルにした本。本書によりダイレクト・マーケティングの根本を理解し、セミナー事業に適用することで成功をおさめた。市川は「今の事業の形があるのはピンク本のおかげ」だと言い切る。

 

FAB

Feature,Advantage,Benefitの頭文字を取ったもの。Feature (特徴)とは、その商品のスペックなどを指す言葉。商品がどのようなものかを仕様として伝える情報。Advantage (利点)とは、その商品の取り分け競合商品などに比べた場合などの、優位点についての情報。Benefit (利益)とは、その商品が特定の顧客に対してもたらすメリットについての情報。例えば、グリップ部分にゴムがついている水性ボールペンの場合、「胴体部分にゴムがついている」はF。「胴体部分にゴムがついていて、握りやすく、長く書いても疲れない」はA。「胴体部分にゴムがついていて、滑りにくく、汗かきの▲▲様にはうってつけ」はB。

 

ファンド・マネージャ

オーナー社長にとっての中小零細企業の社員の例え。社員はファンド・マネージャのような存在であって欲しいと中小零細企業のオーナー社長はいう。社長から金・職場環境という資産を預かっている社員は、当然のことながらそこから利益を生み出す努力をする役割を担っていることを自覚せねばならない。

 

フェルミ推定

実際に調査するのが難しいようなとらえどころのない量を、いくつかの手掛かりを元に論理的に推論し、短時間で概算すること。中小零細企業では、事業の差別化と深耕を重ねた結果、業界単位や既存の統計単位では需要規模やシェアが全く分からない状態がよく発生する。勘や経験則に基づくのではなく、最低限に論理的で妥当な需要予測をするには、フェルミ推定の応用が一番である。

 

プッシュ型・プル型

マーケティングの手法。状況に応じてプッシュ型・プル型を使い分ける必要がある。プッシュ型とは、売り手側で決めたタイミングでターゲットに情報を伝えていくもの。ターゲットは意思に関係なく、受動的に情報を受け取る。不特定多数のターゲットに向けて一斉に情報提供ができ、認知度アップやブランディングに効果的だが、運用コストが高い。CM、メルマガ、飛び込み営業等。プル型とは、逆にターゲットが能動的に情報を取りに行くもの。プッシュ型と比べて運用コストが安く、情報提供のタイミングに制限がないが、即効性に乏しくコントロールが効きにくい。インターネット検索や、リスティング広告、紹介、口コミ、ショールーム等。

 

プロダクト・アウトとマーケット・イン

商品やサービスありきで商品開発・生産し、それを必要としている人を見つけて提供することをプロダクト・アウトといい、逆に市場やお客様のニーズから、必要となる商品やサービスを開発し提供していくことをマーケット・インという。

 

プロモーション・ミクス

①PR、②広告、③パーソナルセリング(人的販売、対面販売)、④セールスプロモーション(販売促進、ノベルティやキャンペーンなどの①〜③に入らないもの)といった販売促進手段を最適に組み合わせ、一定の予算で効果を最大にしようとする考え方のこと。①〜④を組み合わせる際、ターゲットは同じにする。また①→③は時系列である方が効果的である。

 

文鎮型組織

決裁権を始めとする全権限を握るオーナー経営者以外の社員は、幹部や役員も担当者レベルの社員と殆ど違いがないような組織。頂点に居るオーナー社長は組織構成員(社員)を全て把握し、「課長」などの役職は実質的に「あだ名」であり、給与とも直接的な相関もなく、職掌も役職に応じて大きく変わらない。中間管理職は現実には存在しないも同然で、その組織の形を図に描くと、習字で使う棒にマルぽちのついた文鎮のような形になるので、これを「文鎮型組織」と呼ぶ。

 

ベネフィット・ポイント

市川の造語。お客様との商談の中で明らかになったお客様の顕在ニーズ発言に合わせて、商品・サービスを使用した結果の利益(ベネフィット)をお客様の納得の言葉に置き換えたもの。お客様は自分の言葉のみによって説得される。お客様からベネフィットポイントが語られれば、商談はほぼ成立したも間違いない。逆に言えば、ベネフィットポイントあらかじめ想定し、お客様にそれを言わせるような質問を繰り返すことで商談は成立するのである。

 

ペリファラル・コンピタンス

市川による造語。コア・コンピタンスの脆弱性を補うべく、他者に模倣されにくいヒトによるきめ細やかな差別化ポイントを、コア(核)・コンピタンスに対して、ペリファラル(周辺の)・コンピタンスと命名。簡単に模倣できないような特殊な自社開発ノウハウの蓄積、組織規模の大きさ故に、大手が徹底できない経営の質の追求と実現といったことで強化していく中小零細企業だからこその競争優位性。

 

勉強会

MSIグループの主力サービスメニューの一つ。社内勉強会は目先の課題を解決すると同時に、参加している社員の方の動機付けを行なうと言う、主にファシリテーションを主体とした手法。

 

ボードリヤール

ジャン・ボードリヤールは、フランスの哲学者、思想家。『消費社会の神話と構造』は現代思想に大きな影響を与えた。市川はこの本の中で語られる記号消費について卒論の中でも触れている。食うに困ることがない充たされた消費社会で、欲望はどのような形かで充足されてしまう。潜在的可能性が実現した社会は、循環状態から抜け出すことができない。ボードリヤールはこれを「社会の『死』」と呼んでいる。

 

マーケティング・ミクスのカスタム・メイド

顧客像や顧客ニーズを中心にマーケティング・ミクスを考えるというメソッドの体系である限り、4Pでも10Pでも自社に都合のいいように分類を作ることがあっても構わないという考え方。社員の皆様が勉強会のような形式で時間を或る程度きちんとかけて、自ら学び、学んだ結果を共有し合えるような「勉強会形式」が採用できる物販店の場合には、4Pではなく、MDの具体的な分野をそのまま、4Pに代わるマーケティング・ミクスとして用いることもある。

 

マーケティングの階段

お客様のニーズ充足までの顧客接点をステップ化したもの。階段のような図で考えることが多いため「マーケティングの階段」と呼ぶ。お客様が各ステップを上がる際にどのような心の変化があるのか(どのような動機で階段を上がるか)を分析することが重要。各階段に数値を当て込み分析や計画をすることも可能。新卒採用等マーケティング以外にも転用可能なモデル。

 

マーケティングの定義

特定のニーズを充足することによって継続的な利益を生み出す総ての行為。

 

マーケティングの4Pと4C

マーケティングの4Pはマッカーシーの提唱したマーケティングの王道とも言うべき位置づけのマーケティングの戦略立案のメソッドを体系化したモデル。大手メーカー視点で作られたモデルであるため、小売店やサービス店舗では4Cの方が適用されやすいが、どちらが優れているという話ではない。マーケティング4P、4CのそれぞれをProduct→Customer Value、Price→Customer Cost、Promotion→Communication、Place→Convenienceと対応させることもできる。顧客像や顧客ニーズを中心にマーケティング・ミクスを考えるというメソッドの体系である限り、4Pでも10Pでも自社に都合のいいように分類を作ることがあっても構わない。

 

マシュマロ実験

スタンフォード大の心理学者ミッシェル博士が1968-1974年に行なった有名な実験。653人の4-5歳の子供にマシュマロを一つ見せて、「このマシュマロは今すぐ食べてもいいよ。けれども、もし15分間食べないで待てたら、もう一個マシュマロをあげよう」と伝えて、子供の行動を別室から観察した。結果、二個のマシュマロを貰えたのは全体の4割だった。1984年に追跡調査が行われ、マシュマロを我慢できた子は、SATの点数が満点に対して一割近く高いことが分かった。幼少時のIQよりも我慢強さの方がSATの点数に大きい影響があると言う。

 

マズローの欲求5段階説

モチベーション理論の一つ。アメリカの心理学者アブハム・マズローの主張した説。人間の欲求は5段階のピラミッドのように構成されていて、低階層の欲求が満たされると、より高次の階層の欲求を欲するとされる。ピラミッドの下から「生理的欲求」「安全欲求」「帰属欲求」「尊厳欲求」「自己実現欲求」。あまり知られていないが、マズローは哲学者で、人間の欲求はこのように進化して行かなければ駄目だと言うことでこの五段階説を作った。そのため、一旦上の段階に行くと、下の欲求が満たされなくても、それに絆されることはない。

 

マッカーシーのマーケティングの先見性と限界

マッカーシーの先見性は、マーケティングを「特定のニーズを充足することによって継続的な利益を生み出す全ての行為」と定義し、顧客像や顧客ニーズを中心にマーケティング・ミクスを考えるというメソッドを確立したというところにある。しかし、人口減少地域等においてはセグメントしすぎると対象が減りすぎて商売にならないという限界もある。

 

「未明の野菜」

ソリアズ第114号タイトル。口を開けて待っていれば大口顧客が納入すべき商品を指定し、価格、仕様、仕入元の連絡先までセットで教えてくれる。そんな大手企業にオンブにダッコで生き延びている下請経営をしている中小零細企業のことを意味する。“植物状態”の患者を英語でベジタブルと呼ぶことから、大手企業の経営が苦しくなるとあっさりと首を切られ終焉を迎える下請経営企業を、生命維持装置を外せばあっさり死に至る野菜(植物状態の患者)に例えている。

 

ミンツバーグ

ヘンリー・ミンツバーグ。市川の組織観の軸となる経営論を説く経済学者。現場レベルの改善から創発的に生み出し、それが組織全体の行動に反映されていく組織こそ優れた組織だとミンツバーグは言う。中枢がないからこそ、どこかで分断されてもそれぞれが情報を持ち寄り判断することで、大きな支障なく経営が行える点が強みとなる。ミンツバーグの教えに忠実に人生観もセットにした人材教育を行なうことで、中小零細企業を強く、優れて柔軟な組織に近づけるのが市川の仕事。

 

ムダ取り

業務におけるムダを排除すること。主に製造業などで日常あたりまえの取り組みとして生産コストを下げるために行っている。ムダは「停滞のムダ」「動作のムダ」「運搬のムダ」の3つに分けることができる。ムダ取りをするためには現場に立ち、見つけたらすぐにムダを取ることが大切である。

 

メカ

仕組み、主に対話的な仕組みのこと。「メカがワークしない」とは仕組みが機能していないという意味。

 

モデリング

顧客像を具体的に描くこと。これは、(実際の顧客像を勿論参考にしますが)、現実の顧客ニーズを把握することを放棄して、架空の顧客像を設定してしまうと言う考え方。架空のモデルを想像するため、「モデリング」と呼びます。架空の人物の設定は、まるで、物語のキャラクター設定のように行なわれる。より、リアルにするために、その架空の人物に名前をつけて、アニメのキャラクター設定のように、性格や年齢、家族構成などなど、きめ細かく決定しつつ、それを組織内で共有していく手法。「ペルソナ」とも呼ばれる。

 

最寄品・買回品・専門品

「最寄品」とは、トイレタリーや食品等一般的に製品単価は低く、消費者が商品の細かな差異に拘らず最寄りの店で間に合わせる商品。なるべく多くの小売店に多くの製品を陳列してもらうことが重要。「買回品」とは、衣類・靴・家具等好きなものを追求して買い回る製品。複数の店舗や売り場に足を運び購買を検討するほどの製品であり、一般的に製品単価は高くなる。「専門品」とは、高級自動車や高級ブランド品などのことで、購入にあたって特別な知識や趣味性を要する製品。 購買者はわざわざ店に出向いてその製品を指名買いする。と、分類・定義されているが、市川はこの分類が日本において機能するのか疑っている。

 

夢、死ね系

中川 淳一郎による著書『夢、死ね! 若者を殺す「自己実現」という嘘』からの引用。著者は「仕事で夢を実現する」ということをものすごく否定している。夢を追いかけるのにはものすごい覚悟が必要であり、中途半端な気持ちではできない。「仕事で夢を実現する」ということは自分に求められていることではなく自分がやりたいことをやるということで、これはプロダクト・アウト型発想であると市川は言う。

 

ランチェスターの法則

市川が中小零細企業の経営方針・事業方針の立て方として引用することが多い1914年にフレデリック・ランチェスターによって発表されたオペレーションズ・リサーチにおける戦闘の数理モデル。特にランチェスター第一の法則による戦略を常に採用しなくてはいけない弱者の戦い方は、非常に頻繁に説明しており、催眠状態でも理路整然と説明できるのではないかと思うぐらいにこなれた状態になっている。

 

ルーチン・ワーク

作業のスピードを速くする上で注意すべきことの一つ。時間の無駄は人件費の無駄であり、効率的な作業の実現によって達成するものと考えるべきである。時間のムダ取りをする上で作業改善が最も効果を生む部分がルーチン・ワークである。日々多くの社員が関わる作業であるが故に、僅かな効率化でもその効果が水平展開しやすく、且つ、その後、定着して効果が出続ける。

 

労働主体

内田樹の著書『下流志向』より引用。働くことが当たり前と考えられる人。まるで呼吸か何かのように、疑問の余地も選択の余地も無く、ただすることになっている労働。その事実を自然に受け容れられる人。現代の子供たちは「労働主体」から「消費主体」に変化しており、オーバーアチーブを認めず、やった仕事の結果をすぐ求めるという傾向が強い。

 

ロール・モデル

お手本となる人物。具体的な行動や考え方の模範となる人物のこと。新卒採用ばかりを続けると幹部のロール・モデルがいなくて困るという事態が発生しがちである。

 

ワーク・ライフ・バランス

仕事と生活を分けるということは、市川には全く得心できない発想。だからと言って、仕事に全人生を賭けろといった意味でもない。

 

「分からないことをなかったことにする能力」

内田樹の著書『下流志向』より引用。「下流志向」の人々には、自分が理解できないことや自分が知らないことをなかったことにできる能力があるという。彼らから見た世界には、彼らが分からないことが全く存在しない。彼らは全能で新しい発見は一切発生しない。学ぶ喜びもなければ、何かの道に励むこともない。